仕事で問題が発生したとき、その根本的な原因を突き止めたいと思うことはありませんか?しかし、論理的に考えるのが苦手で、なかなか的を射た解決策を見つけられないこともあるでしょう。そんな時、上司から「もっと考えろ」と指摘されることもありますよね。とはいえ、やっぱり論理的な思考は得意ではない…。そんな時に役立つのが「なぜなぜ分析」です。このシンプルな手法を使えば、誰でも問題の本質に迫ることができ、若手サラリーマンの心強い味方となるでしょう。本記事では、実際の活用事例も含めて詳しく説明します。
なぜなぜ分析とは
「なぜなぜ分析」とは、問題の根本原因を明らかにするためのシンプルかつ効果的な問題解決手法です。この手法は、問題が発生した際に「なぜそれが起きたのか?」と問いかけ、答えが出るたびに再度「なぜ?」と質問を繰り返すことで、表面的な原因ではなく、根底にある本当の原因に到達することを目指します。通常、「なぜ?」を5回ほど繰り返すことで、根本的な原因にたどり着けるとされています。
この分析手法は、問題が再発しないようにするための強力なツールであり、トヨタ自動車の品質管理や生産性向上の一環として開発されました。特に製造業においては、問題が一度発生した場合、その場しのぎの対応では同じ問題が繰り返し発生するリスクが高いため、問題の本質を追求することが重要とされています。
トヨタ自動車におけるなぜなぜ分析の例
トヨタ自動車は、品質管理において世界的に評価されていますが、その背景には「なぜなぜ分析」の徹底した活用があります。たとえば、ある工場で生産ラインが突然停止するという問題が発生したとしましょう。この場合、通常は機械の不具合を修理することで表面的な問題は解決されますが、トヨタではそのような対応だけでは終わりません。問題が再発しないよう、以下のように「なぜなぜ分析」を進めます。
- なぜ生産ラインが停止したのか?
→ 機械Aが故障したから。 - なぜ機械Aが故障したのか?
→ 機械の部品が摩耗していたから。 - なぜ部品が摩耗していたのか?
→ 定期的なメンテナンスが十分に行われていなかったから。 - なぜメンテナンスが十分に行われていなかったのか?
→ メンテナンススケジュールの管理が不十分だったから。 - なぜメンテナンススケジュールの管理が不十分だったのか?
→ メンテナンスを担当するスタッフの教育が不足していたから。
この「なぜ?」を繰り返すプロセスにより、問題の本質が「機械の故障」ではなく、「メンテナンススケジュールの管理不足」や「スタッフ教育の不足」にあることが明らかになります。これによって、単なる機械の修理ではなく、メンテナンス体制や人材育成を改善するという根本的な対策が打てるようになります。
トヨタ自動車では、このような徹底的な分析を通じて、生産効率の向上や品質トラブルの予防に取り組んでいます。この手法は単に製造業だけでなく、オフィス業務や日常生活でも応用可能であり、問題の根本原因を突き止めるための有効なツールとして活用されています。
なぜなぜ分析を使った身近な事例
例えば、朝寝坊して会社に遅刻してしまったという問題を考えてみましょう。この問題に対して、なぜなぜ分析を使って論理的に根本原因を探ってみます。
- なぜ遅刻したのか?
→ 目覚まし時計が鳴ったのに気づかず、起きられなかったから。 - なぜ目覚まし時計に気づかなかったのか?
→ 夜中に寝るのが遅くなり、深い眠りに入っていたため、アラーム音が小さく感じたから。 - なぜ寝るのが遅くなったのか?
→ 帰宅後に仕事の資料作成に時間を取られ、いつもより遅くまで作業していたから。 - なぜ帰宅後に仕事を続けたのか?
→ その日のうちに終わらせる予定のタスクが、業務時間内に終わらなかったから。 - なぜ業務時間内にタスクが終わらなかったのか?
→ 業務時間中に予期せぬミーティングや他の優先度の高い仕事が割り込んだため、本来のタスクに十分な時間を取れなかったから。
この例では、遅刻の直接的な原因は「目覚ましに気づかなかった」ことですが、根本的な原因は「業務時間内にタスクが完了しなかったため、夜遅くまで作業が続いてしまったこと」にあります。この結果から、業務時間の効率を見直したり、優先順位を改善するなどの対策を講じることで、遅刻を防ぐことができるでしょう。
まとめ
なぜなぜ分析は、表面的な問題を超えてその本質に迫り、問題の根本原因を明らかにするための強力なツールです。特にトヨタ自動車の例に見られるように、問題をただ解決するだけではなく、再発を防ぐための根本的な対策を打つことができます。日常生活や業務において発生するさまざまな問題にも、この手法は効果的です。論理的に考えるのが苦手な人でも、この分析手法を用いることで、問題解決のスキルを高めることができるでしょう。