リセッション、または景気後退とは、経済が縮小する期間を指します。国内総生産(GDP)が連続して2四半期以上縮小した場合にリセッションと定義されることが一般的です。この期間中、企業の収益が減少し、失業率が上昇し、消費者の購買力が低下します。リセッションは一時的な現象ですが、その影響は人々の生活に大きな変化をもたらします。
最近起こったリセッションの例
- COVID-19パンデミックによるリセッション(2020年)
新型コロナウイルスのパンデミックは、世界的なリセッションを引き起こしました。各国でロックダウンや移動制限が実施され、観光業、航空業界、飲食業などが特に大きな打撃を受けました。
日本でも2020年に連続してGDPが縮小し、景気の悪化が続きました。政府は給付金や融資を行いましたが、回復には時間がかかり、影響は長引きました。 - リーマンショック(2008年)
リーマンショックは、アメリカのリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに世界的な金融危機を引き起こしました。これにより、多くの企業が倒産し、失業者が増加。経済活動が停滞し、世界中で景気後退が発生しました。日本でもこの影響は大きく、リセッションは数年間続きました。 - 2022年のエネルギー危機と物価高騰
ロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギー価格が急上昇。特にヨーロッパを中心に生活費が増加し、インフレが急速に進行しました。このインフレを抑制するために各国の中央銀行が金利を引き上げましたが、それがさらなる経済の鈍化を招き、リセッションの懸念が高まりました。
リセッションが起こる仕組み
- 需要の減少
消費者や企業が購買意欲を失うと、需要が減少し、企業の売上が下がります。その結果、経済全体が縮小し、リセッションが発生します。 - 金融危機
銀行が融資を制限したり、金融市場が混乱すると、企業や個人が資金を借りにくくなり、経済活動が停滞します。これもリセッションの原因の一つです。 - インフレや金利上昇
物価が急激に上がり、消費者が物を買う余裕がなくなると、経済活動が停滞します。また、金利の上昇が企業の投資や個人の借り入れを抑制し、リセッションを引き起こします。 - 外的ショック
戦争や自然災害、パンデミックなどの突発的な出来事が、供給チェーンに混乱をもたらすことで、リセッションが引き起こされることがあります。新型コロナウイルスのパンデミックや、2022年のエネルギー危機はその典型例です。
リセッションによる社会への影響
- 失業率の上昇
企業が利益を出せなくなると、従業員を解雇するケースが増加します。その結果、失業率が上昇し、多くの人が職を失います。 - 消費の減少
失業や収入の不安定さから、消費者は支出を控えます。これにより企業の売上がさらに減少し、経済活動が一層停滞するという悪循環に陥ります。 - 社会的格差の拡大
リセッションの影響は、特に低所得者層や非正規雇用者に強く現れます。これにより、社会的な格差が拡大し、貧困問題が深刻化する可能性があります。 - 政府の財政負担の増加
失業率の上昇や景気後退に伴い、政府は失業保険や経済支援策に資金を投入する必要があります。同時に税収が減少するため、財政赤字が拡大し、将来的に増税や公共サービスの削減が検討される可能性があります。
まとめ
リセッションは、個々の生活や社会全体に深刻な影響を与えます。若手サラリーマンとしては、リセッション期にどのように対処するかがキャリアや生活に大きな影響を与えるでしょう。経済の動向を理解し、長期的な視野で資産管理やスキルアップを行うことが、厳しい時期を乗り越える鍵となります。